2009年 06月 04日
『まほろ駅前多田便利軒』
三浦しをん 著(文春文庫)
≪あらすじ≫
まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に・・・。
直木賞受賞作なので、その当時に書店に平積みされていたのを覚えています。
でも、のんびりした便利屋さんの日常を綴った内容なのかと勝手に思って読まずにいたのですが、最近、文庫本になって並んでいたので、手にとりました。
読んでみると、あらあら、全然イメージと違って、なかなかスリリング。
登場人物たちも個性豊かで、文章もとても読みやすく、どんどん読めました。
便利屋の多田と同級生の行天は、お互い傷を抱えているのですが、いろいろなエピソードを絡めながら、だんだんそれが明らかになっていきます。
社会の隅っこで一生懸命生きている普通のような普通でないような人たちが、生き生きと描かれていて、とても面白くちょっぴり切なく、読後は爽やかで、いろいろあるけど、みんな頑張ろう!という気持ちになりました。
ストーリーも面白いのですが、私はときどき出てくる人物や物、場所についての描写が、声に出して笑ってしまうほど面白い部分がいくつかあって。ユニークというのでしょうかねえ・・・。
特に、『アポロン』という喫茶店についての描写が面白かったです。
読んだ方にしか分からないと思いますが・・・・。
是非、ここを読んでいただきたいわ♪ それ以外にも、笑いのつぼがいくつかありました。
by kurocham
| 2009-06-04 23:10
| 本