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『悪人』

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監督・脚本 李相日
原作・脚本 吉田修一
出演 妻夫木聡・深津絵里・岡田将生・満島ひかり・希木樹林・柄本明 ほか (2010年)

長崎の外れの小さな漁村に住む祐一(妻夫木)は出会い系サイトを通じて佐賀在住の光代(深津)と出会う。逢瀬を重ねる2人だったが、祐一は世間を騒がせている福岡の女性殺人事件の犯人だった……。

観終わった後、胸が締め付けられるようで。衝撃を受けました。そして、色々考えさせられる映画だと思います。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。











原作を、映画を観た後に読みました。

原作では、主人公の祐一や光代の人となりが、周囲の人たちの話で形成されていきます。映画では省かれているエピソードもありましたが、台詞はそのまま生かされているものが多く、小説と映画では印象がそれほど変わらないのが良かったなと思うことの一つです。原作者が脚本を書いているせいななのかな?

ラストシーンは、小説も映画もどうとでもとれるというか、そのときの祐一の気持ち、光代の気持ちがどうだったのか、いろいろ考えられる終わり方なのですが、映画のほうが、祐一の光代への想いが感じられるものになっていたと思います。原作の方が脚本を書いているということは、小説ではいまいちわかりにくかった祐一の本音は、映画で描かれているような感じだったということなのかしら?でも、結構強く首を絞めているのはなぜ?と疑問が残ります。
光代に自分のことを憎んで、忘れてほしかったからかなと考えると、納得できるような気もしますが。

小説は、ちょっとわかりにくかったです。
祐一は光代をかばっていたともとれますが、光代でなくてもよかったというのも、本音かもしれないと思いました。そこは、映画ではあまり描かれてなかったところでしたが。
光代の幸せを願っているという言葉、そして、光代の愛によって自信を得ることができたという部分は、本音っぽいなと思いました。
流されるように、色彩の無い白黒の世界で生きてきた祐一が光代に出会うことで、初めて生きていることを実感できたのでしょうね。

おばあちゃんが決意して行動を起こすのと同じように、流されて流されて、逃げることも光代に引っ張られてしていたような祐一が、最後の最後におこしたのが、光代を殺そうとしたことなのかしら。
光代のために??・・・・いろいろ考えてしまうなあ。

警察官に取り押さえられて、光代に向かって伸ばした手をみると、光代をかばったのね、と思うし、ラストシーンで見せる泣きそうな笑顔は、二人の愛がそのときだけだったかもしれないけれど、本物だったのかなと思わせて、ちょっとホッとします。

殺人を犯してから、他の女性に会うとか、出会ったばかりの男性が殺人犯だと知って、一緒に逃げようと頼むとか、ありえない、馬鹿だと思う反面、そういうふうに思ってしまうほど、寂しかったのか、誰かを求めていたのか、どうして?と思ったり、可哀想だなと思ったりします。

光代のしたことは本当に良い判断だとはいえないのだけど、判断を狂わせるほど、誰かを好きになってしまうことってあるのかもなと思いましたが、でも、出会ったばかり、しかも殺人犯・・・・。

だけど、映画の深津さんを観ていると、光代の狂おしいほどの想いや、祐一と出会えた喜びなんかが伝わってきて、納得してしまうのですよね。私だけかもしれませんが。結局、殺されかけても憎むこともできないでいるような光代が切なくて。祐一も映画の中では、全然悪い奴じゃない感じだし。優しいし、うん。だけど、殺人を犯してしまう。不思議。

小説では、母親に金をせびることを恋人に話しているとき、「どっちも被害者になれない」ということを言うのですが、ここが印象的で。やっぱり祐一は、悪人じゃないんじゃない?と思ってしまいます。

殺された女性演じる満島さんはすごい。見事に憎たらしくて。この人はいい演技しますねえ。癖のある役が特ににお似合い。幽霊のシーンは、号泣です。

娘を殺された父親の想い、祐一のおばあちゃんの想いなどなど。
切ないことだらけで、涙涙で観ました。

主に二人の恋愛を描いた映画なのかもしれないけど、現代社会の在りように目を向けずにはいられない。
観る人によっていろいろな感想を持つ映画ではないかなと思います。
あなたは、ここのシーンどう思った?って誰かと話したくなりました。
by kurocham | 2011-01-22 22:46 | 映画

北海道で2人のkids子育て中。 日々の暮らしや 藤原竜也くんについて♪

by kurocham
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